腸と脳は、常に情報交換を行いながらお互いに影響を与え、自律神経系や内分泌系、 免疫系などをコントロールしています。日本ではこれを腸脳相関といい、英語では gut-brain axis とか gut-brain connection と呼びます。だから腸が乱れると脳に悪影響がおよび、脳に問題が生じると体の各器官にも不具合が出てきてしまうのです。
自律神経系は呼吸や消化、血液の循環など私たちの生命維持のために大切な役割を担っていて、脳の視床下部が司令塔となって戦闘モード(交感神経)とお休みモード(副交感神経)のバランスをとっています。これが乱れると不眠や倦怠感、肩こり、頭痛な どの症状が現れます。内分泌系はホルモンを分泌する腺のことで、生理や妊娠を導くだけでなく、食欲や睡眠とも関わっています。
したがって生理不順や不妊、つらい更年期 障害と深い関係にあるばかりか、実はダイエット成功の鍵もここが握っています。そして、免疫系は各種アレルギーだけでなく、自己免疫疾患や自閉症とも関わっているところです。腸を整え、アレルゲンの体への侵入を阻むことが症状の改善に必須です。
このように腸と脳は密接に関わっており、腸の状態が脳を通して体全体に影響するため、脳に照準をあてて食を見直し、腸をベストな状態に引き上げれば、認知症の予防や改善だけでなく、学力や身体能力の向上、感情のコントロール、自閉症スペクトラム障害の緩和、減量・増量、妊娠しやすい体づくり、中毒症の断ち切りまで効果が期待できるのです。妊娠中の女性におかれましても、ご自身の体調管理とおなかにいるお子様の脳の発達のために、食を見直し、腸を正すことはとても意味があります。 私どもはこれを踏まえ、腸を整え、腸から脳に働きかける栄養成分や食品をブレインフードと名付けました。体の仕組みを理解して、科学的根拠のある栄養の摂取や食事法、ライフスタイルの改善をご提案するのが、私どものカウンセリングの根幹です。ブレインフードを用いて腸を正し、脳にアプローチすることで、心と体の健康とパフォー マンスの向上を目指すのです。
ちなみに最近注目されているグルテンフリーダイエット (小麦に含まれるタンパク質成分の一種であるグルテンを除く食事)は、グルテンによる腸壁へのダメージをなくし、体の中の炎症を抑えることで各種疾病の改善や減量を可能にさせるもので、栄養指導において推奨する食事法のひとつです。万人にこれが必要というわけではありませんが、認知症や不妊症、自閉症スペクトラム障害などの改善には良い報告が上がっています。また、ウコンに含まれる色素成分のクルクミンはうつ症状を和らげるとの研究結果も出ています。食べ物で疾病の予防や症状の改善ができれば、副作用もないので積極的に利用したいものです。
食で未来は変わります。あなたもブレインフードを取り入れて、人生を豊かに実らせましょう!